ふたばクリニック 内科・小児科

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ホーム > コラム > 新しいポリオワクチン(不活化)の方向性は?

コラム

ご注意

この文書は 2006年に書かれています。今後、ポリオワクチンの状況が変わると思います。
この中に、将来的な実情にそぐわない記載を認める可能性もございます。

新しいポリオワクチン(不活化)の方向性は?

詳細記事は こちらを参照してください

(財)日本ポリオ研究所は、日本国内でポリオワクチン(OPV:経口接種)を独占的に製造販売している唯一の製薬会社です。同社は、不活化単独ポリオワクチンの製造承認申請を取り下げました。事実上、不活化ポリオ単独ワクチンは、開発中止となります。
書類の不備という形で白羽の矢が立ちましたが、ポリオワクチンは単抗原製剤では使い勝手が悪いというのが本音でしょう。今さらポリオ単抗原ワクチンなど開発しても、日本の乳幼児予防接種制度の混乱につながるだけです。これからは、単抗原ワクチンを複数開発するよりも、多価ワクチンとして1製剤にまとめる方向性が大切です。

  • 日本・欧米におけるポリオワクチンの実施状況
  • 日本におけるポリオワクチンの歴史
  • 日本のポリオワクチンの方向性
日本・欧米におけるポリオワクチンの実施状況

日本のポリオワクチンは、飲み薬です。弱毒生ワクチンを 乳幼児期(3ヶ月以上、7歳6ヶ月未満)に2回内服いたします。生ワクチンの内服に伴い、ポリオワクチン関連麻痺(Vaccine associated paralytic polio:VAPP)は、100万回に1件(日本では約400万~500万回接種あたり1件と報告された時期もあります)発生しています。
欧米のポリオワクチンは、不活化ワクチンを使用し、筋肉(皮下)注射を行います。不活化ワクチンの接種回数は4回以上が標準になっています。不活化ワクチンによる麻痺症状発症はありません。また、接種者体内での病原性再獲得の可能性もありません。排便中へのウイルス排菌にともなう二次感染もありません。生ワクチンより安全に予防接種を行うことが可能です。

日本におけるポリオワクチンの歴史

日本では、ポリオ生ワクチン(ワクチン株)の利用が1961年に導入されました。以後、今日に至るまで経口生ポリオワクチンが使用されています。(平成18年 現在)
世界的には、ポリオワクチンの接種は4回を原則としています。日本の場合、2回接種でポリオワクチン制度は始まりましたが、非常に効果的に機能してきました。
なぜ、日本が2回接種でポリオ根絶に成功したのか いくつかの要因があります。まず、日本には雨季がありません。雪の降る冬季もあり 環境的にポリオの爆発的な増殖が困難であったことがあげられます。地理的にも、隣接国から海によって隔離されていおり、外国からのポリオ輸入は限られています。また、1960年代から急速に環境整備が整ったこと、国民にポリオワクチンの必要性が理解されたことも重要です。
日本におけるポリオワクチンは、ポリオ研究所が独占的に製造供給してきました。生ワクチンの宿命であるVAPPの懸念に対して、同研究所はポリオ単抗原としての不活化ワクチン開発を目指おりました。しかし、単独不活化ワクチンの製造承認申請を取り下げたことにより、事実上不活化単独ワクチンの開発を断念した状況です。

日本のポリオワクチンの方向性

当初開発されていたポリオ単独不活化ワクチン(注射)は、4回皮下注射 する必要があります。現行のDTP三種混合ワクチンなどに加え、4回の不活化ワクチンを上乗せして接種する予定となりますが、現実的ではありません。
日本ポリオ研究所は、単独ワクチンに意欲を見せておりましたが、同ワクチンの申請書類不備を理由として承認が保留されておりました。さらに、接種回数が大幅に増加するポリオ単抗原ワクチンは、医療現場でも反発が強いものでした。単独ワクチンの追加治験実施も困難な状況と判断したために、日本ポリオ研究所は同単抗原ワクチンの承認申請を取り下げました。
生ワクチンは、弱毒株を利用していますが、VAPPの可能性が残ります。不活化ワクチン開発への期待は、大きなものがあります。世界的にもポリオワクチンは、不活化製剤が標準です。ポリオ不活化単独ワクチンの開発は中止されましたが、DPTを含めた4種混合ワクチン開発なども、今後の開発の方向性として選択肢の一つになると思われます。

ふたばクリニック 広瀬久人 (2006.04.04)

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