ふたばクリニック 内科・小児科

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医師 広瀬久人/dc@futaba-cl.com

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コラム

ポリオワクチン/神奈川県 Vs 厚労省

神奈川県の黒岩知事が、来年度から不活化ポリオワクチン/IMOVAX Polioを、神奈川県関連の5医療機関で対応することを表明いたしました。(2011年10月)

不活化ポリオワクチンの承認が得られるまでの、一次的対応だそうです。指名された各医療機関は、IMOVAX Polioを個人輸入して使用する予定です。

これに対して、厚労省結核感染症課は「海外の不活化ワクチンは日本では未承認で、安全性が確認されていない」と早期導入に否定的。副作用が発生した場合は補償もできないとし、「生ワクチンの接種をしないようあおるのはやめて」と不快感を表明しました。

小宮山厚労相も、厚労省担当課を援護しております。

厚生労働省が大変困惑しているのは事実です。この問題に関してコラムを設けました。

ポリオワクチン/神奈川県 Vs 厚労省 

  • 個人輸入制度に関して
  • 厚労省は、神奈川県のポリオワクチン輸入を阻止できない
  • 厚労省の懸念に合理性があるのか
  • 私 個人の気持ちとしては
個人輸入制度に関して

個人輸入とはどのようなものか、この機会に考えてみたいと思います。

まず、海外で承認された医薬品を個人輸入して人体に使用するためには、医師の資格が当然必要です。医師による医薬品の個人輸入に関して、流れを見ていきます。

1:医師個人が、直接またはエージェントから相手国の出荷元に発注します。

2:相手国の輸出規制チェックを受けた後、出荷されます。

3:成田空港などのポータルサイドに着荷します。
 (この時点では、輸入を許可されたわけではありません。)

4-a:厚生労働省・経済産業省へ輸入許可申請書を提出します。
4-b:厚生労働省地方厚生局から薬監証明書を取得します。

5:実際の輸入品の内容と、行政書類のチェックが行われ、輸入許可がおります。

6:通関後、個人輸入元に配送となります。

この制度は、海外で利用されている医薬品を、医師個人の責任で、日本国内でも臨床使用するための制度です。あくまで、医師個人の自己責任の基に成立しています。

従って、輸入手続きの申請書類に即した使用しかできません。

複数の医師が勤務する病院であっても、申請内容に関係の無い医師が使用することは、問題となります。看護師等が、輸入製剤を注射をすることも、許されておりません。

厚労省は、神奈川県のポリオワクチン輸入を阻止できない

今回、黒岩知事と小宮山厚生労働相が、お互いにマスコミ上で舌戦を行いました。

厚生労働省が輸入許可を認めなければ、神奈川県は不活化ポリオワクチンを輸入できません。しかし、そのような意地悪は、実際には不可能と思われます。

医師による輸入申請書が提出されれば、違法性がない限り、厚労省は輸入許可を認めざるを得ません。神奈川県が予定する大量の不活化ポリオワクチン輸入を、厚生労働省は阻止する事由がないのです。

ただし、神奈川県の該当医療機関も多大な負担を強いられます。

輸入ワクチンは、使用目的・使用方法が限定されており、通常のワクチン接種のように全ての医師が対応できるわけではありません。

もし、申請以外の使用方法が発覚した場合、不正使用とみなされます。次回以降の薬監証明を保留される、いわゆるペナルティの可能性がいつも伴います。

厚労省の懸念に合理性があるのか

2012年度には、単独不活化ポリオワクチンとDPT-IPV混合4種ワクチンの発売が予定されています。

あと1年待てば・・・と考えるのは、親として当然の自己防衛手段です。

実際に、2011年のポリオ生ワクチン集団接種は不人気でした。

当院の所在する世田谷区でも、2011年春の集団接種会場で受診者の減少を感じましたが、同年秋はさらに受診者が減少しています。

厚生労働相は、ポリオ生ワクチンの接種抑制により、免疫を持たない人が増える恐れ・・・を指摘しています。(2011年10月記者会見にて)

しかし、ポリオよりも はるかに現実的な脅威である日本脳炎に関して、ワクチン接種を5年間も厚労省が勧奨中止にした実績があります。

不活化ポリオワクチンの承認・導入を1年後に控え、ポリオ生ワクチンの勧奨中止を行なわない理由を、日本脳炎ワクチンと比較してきちんと説明していません。場当たり的な対応の因果に、困惑していることがうかがえます。

中国でもポリオが発生したと喧伝しています。しかし中国では、ポリオより 狂犬病の方が多い現実があります。なぜ、ポリオだけ危機意識を扇動する合理性があるのでしょうか。あまりにも作為的で、強い違和感を感じます。

さらに、中国・韓国はもとより 日本でもB型肝炎は発生していますが、ポリオワクチンが日本で必要であるならば、グローバルスタンダードであるB型肝炎ワクチンはどう考えたらよいのでしょうか?

実際のところ、厚労相の会見は 強い語気だけが伝わりますが、内容はありません。要するにワクチンの需要コントロールの下心が見え隠れしています。

みんながポリオ接種を1年間控えてしまうと、不活化ポリオ導入時に需要が殺到します。その混乱責任を回避したいと、訴えているようにしか思えません。

私 個人の気持ちとしては

消費者は、非常に合理的です。1年ちょっと待てば、DPT-IPVが無償化されることを知っております。

厚労省が生ワクチンを推奨しても、親としての不安は解消できません。

黒岩知事が、不活化ポリオワクチンの接種機会を用意しても、関心を示していただける保護者は ひとにぎりにすぎません。

両者とも鼻息は荒いのですが、一番合理的に判断するのは、やはり親としての気持ちだとおもいます。

ふたばクリニック 広瀬久人 (2011.10.22)

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