トップ コラム 健診・検査 予防接種 自費処方

ふたばクリニック HomePage > コラム 
> インフルエンザの出席停止期間

インフルエンザの出席停止期間

インフルエンザ発症日を0日と数え、5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児にあっては,3日)を経過するまで出席停止

学校保健安全法施行規則の一部を改正する省令の施行について (平成24年4月2日省令改正)

インフルエンザの治療に、抗インフルエンザ薬は非常に効果があります。タミフルを発熱早期に内服すると、1~2日で解熱が可能です。しかし、他者への感染時期が短縮するわけではありません。

タミフルを代表とする”抗インフルエンザ薬”を使用した場合、発熱初日を第0日と数えて、第5日までは有意な感染性が持続します。登校・登園に際して、充分な配慮が必要となります。

詳細は、インフルエンザの出席停止期間・2012年改正 をご参照ください。

抗インフルエンザ薬

ノイラミニダーゼ阻害薬

タミフル(オセタミビル)
リレンザ(ザナミビル)
イナビル(ラニナミビル)
ラピアクタ(ペラミビル)

M2タンパク阻害薬

シンメトレル(アマンタジン)

インフルエンザウイルスは 感染動物の細胞を乗っ取ることにより、宿主の細胞をウイルスの複製工場として利用します。そして、大量コピーされたウイルス粒子は、再び細胞外へと放出されます。

莫大に増殖したウイルスが放出されると、私たちの感染防御系は 内因性炎症因子を放出して抵抗します。ウイルスに対する反撃の始まりです。この炎症因子の中でもインターフェロンやインターロイキンは特に重要です。

しかし、内因性炎症因子は、強力な発熱や症候性疼痛(頭痛や体節痛)を惹起します。インフルエンザに特徴的な高熱・倦怠感・頭痛・筋肉痛は、私たちが保有している炎症因子が原因です。

抗ウイルス薬は、”ウイルス複製の最終段階” や ”コピー後のウイルス放出” を抑制することにより、ウイルスの爆発的な増殖を阻止します。結果としてインターフェロンの大量誘導は回避され、インフルエンザ特有の発熱・疼痛症状は急速に改善されます。(症例によっては、同剤を服用しても早期に解熱しない場合もあります。)

インフルエンザ感染期間

インフルエンザの発熱・疼痛症状は、ウイルスの毒性が原因ではありません。前述したとおり人体由来の炎症因子による症状です。

抗ウイルス薬を使用すると、ウイルスの増殖が抑制され、炎症因子の大量分泌が誘導されません。解熱したことは、炎症因子が減少したことに由来します。伝染に有効なウイルス量は、解熱後も持続しております。

発熱後5日間は要注意期間

抗ウイルス薬は、インフルエンザ感染に関する症状を軽減してくれます。同剤は、発熱期間を1~2日に短縮します。
しかし、感染可能な期間は短縮できません。結果として、感染可能な無熱期間は、逆に延長いたします。

抗インフルエンザ薬を飲んでしまうと、急速に感冒症状は軽快します。従来のように、「解熱した後2日を・・・」という基準では、他者への感染を有効に予防できません。

発熱初日を第0日とかぞえて、第5日までは感染リスクが持続する時期と考え、リスクを回避する対応が必要となります。

他感染症に関する出席停止期間は、下記をご参照下さい。

登園・登校/出席停止期間のめやす

追記:学校保健安全法・施行規則変更 平成24年3月31日

同法・施行規則変更に伴い、インフルエンザなど感染症罹患時・出席停止期間が以下の様に変更となります。(以下の内容は、2012年に追記いたしました)

同法・施行規則変更内容(出席停止に関する内容のみ抜粋)
病名 対象 出席停止期間・変更後の内容
インフルエンザ 小中高・大学 発症後5日を経過し、かつ解熱後2日間
インフルエンザ 幼稚園・保育園 発症後5日を経過し、かつ解熱後3日間
おたふくカゼ 園児~大学 (耳下腺の)腫れが出た後5日間を経過し、かつ全身状態が良好になるまで
百日咳 園児~大学 特有の咳が消える、または5日間の抗菌性物質製剤による治療終了まで

以下の内容は、平成18年(2006年)2月4日当時に記載されたものです。
平成24年(2012年)3月31日に、学校保健安全法・施行規則が変更されました。
この変更に伴い、インフルエンザの出席停止基準も、変更されております。

以下は、内容が古く、現実にそぐわない点もありますが、同法の推移が良くわかりますので、しばらく掲載を続けます。

付記(2006.02.04)

「学校保健安全法が、出席停止日数を規定している」と誤解される傾向がありますが、”基準”として提示しているだけです。

学校保健安全法によって、学童・生徒の集団内に伝染する可能性を認めた場合、学校長による出席停止処置が定められています。(学校保健法・単独では、対象疾患の規定は、ありません。)

この法律の施行規則によって、出席停止の対象疾患が具体的に指定されています。また、施行規則に明記のない疾患であっても、感染予防対策上 出席停止が必要と学校長が判断した場合も、同様の対応となります。(医師の診断書や意見は、あくまで参考にすぎません。出席停止の判断は、学校長の権限です。)

この施行規則は、旧文部省当時の認識で作成されて 現在に至っております。抗インフルエンザ薬が承認される以前に作成されたものであり、当時の経験則に基づいています。登校再開の条件は、日数の”規定”ではなく、あくまで”基準”として記載されております。

同法 および 同規則の抜粋・H15年(2005)1月17日