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接触性皮膚炎/野菜・レタス

キク科・レタス(lettuce)
病態:アレルギー性皮膚炎・物理的微小外傷&化学性皮膚炎
原因:レタス成分、シュウ酸ラクチュピコリン類

レタスを新鮮な状態でカットすると断面からサップ(白い乳液)が染み出してきます。
このサップにかぶれることが非常に多く、レタス農家の悩みでした。
また、朝取野菜など収穫直後のレタスの断端部に触れてしまい、購入者が手荒れ起こすこともあります。
この皮膚炎は、新鮮なレタスで起こります。
サップに含まれる特別な化学物質が原因と考えられていますが、全ての侵襲因子が特定できているわけではありません。
この章では、シュウ酸ラクチュコピクリン(LO)に焦点を当てて説明していきますが、レタスのサップ(樹液)には他の侵襲性物質も含まれています。

LOは、セスキテルペンラクトン類(SLs)の一種です。
SLsは、5基・7基・5基のカルボン環が3連を形成し、側鎖に多様性を持ち、植物の種類によって側鎖の多様性も変化します。
SLsは、主要な苦味成分です。
レタスには、特有の苦みがありますが、その苦み成分の一つがSLsです。

シュウ酸ラクチュコピクリン類(LO)は、化学的に不安定であり、シュウ酸と代謝物に分解されます。
ラクチュピクリン類は、レタスの葉や茎よりも、圧倒的にサップに多く含まれます。
湿重量比では、葉に比べてサップ中の含有量は8,000倍です。(文献1)

1:化学性皮膚炎

シュウ酸結晶は、物理的微小外傷を起こす物質です。
ラクチュピコリン類は、侵襲性があります。
シュウ酸結晶による微小外傷に、侵襲性化学物質による炎症を合併している状態です。

2:アレルギー性皮膚炎

レタス成分による免疫原性によって、アレルギー性皮膚炎を起こしてきます。

【レタスが新鮮なほど、皮膚炎をおこしやすい要因に関して】

レタス茎をカットした時、新鮮な状態ほどサップは多く、ラクチュピコリン類含有量も多いため、皮膚炎をおこしやすくなります。
収穫後に数日経過すると、サップの量は減り、ラクチュピコリン類も分解されます。
スーパーなどで売られているレタスは、収穫から数日経過しているため、皮膚炎をおこしにくい状態で販売されています。
新鮮なレタスを購入した場合、茎の断端に乳白色のサップを認めたら、注意が必要です。

文献1:https://pdfs.semanticscholar.org/a595/cf306c83f7692705dc45e45eac60fd24e5eb.pdf

高速液体クロマトグラフィーによるレタス中のラクチュコピクリン類(苦味物質)の分析
農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター
『レタスにおいてLs(ラクチュコピクリン類)の含量は,湿重量1kgあたり,乳液,芯,葉でそれぞれ40000 ,20 マイクロモルおよび 5マイクロモル以下であった.』

2020.05.24 広瀬 久人

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